ボーダフォンのVアプリは、当初はエンターテイメントユースに特に力を入れることで新しい市場を短期間で立ち上げ、特にゲームなどのコンテンツで成功を収めることができた。
しかし、Vアプリビジネスの更なる進化は、これまでとは別の価値観、すなわち「オープンプラットフォーム」としてビジネス市場での成長ができるか否かが鍵を握っている。
今年10月より、全Vアプリ対応機から、一般アプリ(勝手アプリ)のダウンロードも可能となり、まさに今がオープンプラットフォーム推進の「出発点」とボーダフォンは位置づける。
Vアプリビジネスに参入するビジネスプロバイダーと共同して、携帯アプリに新しい価値を生み出し、グローバル市場をも視野に入れてVアプリを牽引していきたい、ボーダフォンはそう考えている。




「当初、ボーダフォンのアプリはゲームやキャラクターを携帯電話の中で表現することを重視していた」と手島氏は語る。そうしたわかりやすいジャンルならば、ユーザーは安心してアプリを楽しむことができる。まずはそこから「アプリを使う」という習慣が根付いてくれることを意図していたとのことだ。「しかし公式サイトを中心とする、ボーダフォン⇔コンテンツプロバイダ⇔ユーザーの3者によるスパイラルだけでは、そこから大きなプレイヤーが加わったり、ダイナミックな動きを演出することは難しい。コンテンツアグリゲータや、クライアント企業も含めた、もっと大きな"オープンスパイラル"を作る必要があった。(手島氏)」

手島氏が述懐する通り、ボーダフォンは10月1日、Javaを使ったアプリケーションプラットフォーム「Vアプリ」の仕様を公開することとなった。これまで、パケット対応端末(旧J-5xシリーズ)向けの100Kバイトサイズのアプリのみ仕様が公開されていたが、これによって、全端末に対して一般アプリの開発や公開が可能となるというわけだ。

「Vodafone Developers Support Site」(旧J-PHONE Developer Program:JDP)にて、50K/256Kバイトのアプリ仕様書が公開される。開発ツールについてもすでに50Kバイト向けが提供されている。

公開に関しては、100Kバイトアプリと同様に、コンテンツアグリゲータを通してチェックを経る必要がある。スパイシーソフト、ベクター、バンダイネットワークスの3社がアグリゲータを務める。

「アグリゲータ」という概念は、他の2キャリアにはない概念だ。こうしたボーダフォンでもなく、コンテンツプロバイダでもないという、「中間的なアプリの配信事業者」という概念を取り入れた理由として、手島氏は携帯電話のセキュリティ上の問題を説明する。「たとえば、ドコモさんの場合、505iシリーズでは、公式サイトと勝手サイトでファンクションに格差を付けていますが、それは、端末側で制限を付けるという発想だった。ボーダフォンの場合は、公式サイトであれ、アグリゲータさんであれ、配信する事業者(ボーダフォンも含まれる)によって、配信する側でファンクションに違いを持たせるようにすることができます。いずれせにせよ、"オープンスパイラル"とは、まったくのオープンとは違います。あくまでキャリアやアグリゲータの関わりとの上で実現する"オープン"であるべきだと思っています(同氏)」

非パケット端末のJ-0x,V4xxシリーズが対応する50Kバイトサイズと、パケット対応端末であるJ-5x,V6xx,V8xxシリーズの100Kバイトサイズ、そしてJ-SH53,V601SHが対応する256Kバイトのアプリだ。

100Kアプリについては、J-5xシリーズのリリース当初から仕様が公開されており、一般開発者が作成・配布することが可能だった。今回仕様が公開されたことで、これまでの100Kアプリに加え、50Kアプリ、256Kアプリの作成・配布が可能となった。

「この措置で、ボーダフォンの全アプリがVアプリ対応になりました。それまではオープンプラットフォームのアプリ対応機種は200万台ほどしかなかったのですが、これからはすべての機種が対応となるので現時点で約750万台ほどが対応機種となり、一気にアプリを使ったビジネスチャンスも拡大することになります。(手島氏)」



また、ボーダフォンは12月9日、「オープンコンテンツ情報料課金サービス」の機能を拡張し、一般サイトのVアプリ利用についても、課金回収代行を始めると発表している。同サービスは、「ボーダフォンライブ!」向け一般サイトの情報料を、携帯電話の利用料金と合算してユーザーに請求する課金回収代行サービスだ。今後、コンテンツプロバイダは有料Vアプリも同サービスを利用して提供できるようになる。月額課金型(継続利用型)と従量課金型の両方に対応できる運用となっている。

特に注目に値するのは、設定できる上限金額の設定だ。最大で2000円までの課金収納代行も可能となっている。ライバルであるNTTドコモなどが、現状では300円(時期FOMAでは500円/月に拡大予定)を上限としている中、料金面でも弾力性に富んだ選択肢を提供したといえるだろう。これにより、月額300円程度では困難だった高度なソリューションビジネスの提供についても、コンテンツプロバイダーやベンダーにとって、現実的な収益手段が生まれたことは歓迎すべき措置だと言えるのではないだろうか。

また、ボーダフォンは自社で提供する課金収納アプリについては専用のダウンロードサーバを用意し、CPがサーバに事前にVアプリを登録することで同サービスを利用できる。このためオープンコンテンツながらセキュリティの高いサービスを実現できるとしている。申し込みは12月10日からスタートしており、同社のサイトから申請書類を請求し、書面で申し込むことが可能だ。

話の最後に手島氏は、ボーダフォンの描くグローバル戦略についてもビジョンを明らかにしてくれた。「欧州のボーダフォンライブ!は1年ちょっと前にスタートしましたが、1年で300万人のユーザを獲得し、現在では16カ国で展開されています。まだ数の上では日本の方が多いですが、そう遠くない将来に日本の市場規模を追い越すことは確実でしょう。そのときに備えて、Vアプリについても、日本発でグローバルな仕様に統一していきたいと考えています。"オープンスパイラル"は、国内だけでなく、グローバルなモデルにしていきたいのです。(同氏)」

主要3キャリア中では、唯一の外資系キャリアであるボーダフォン。グローバル・スタンダードの強みを活かして、携帯アプリビジネスの国際展開についても期待したい。



セミナーのトリはボーダフォンの手島篤司氏。プロジェクターに映されるパワーポイントのプレゼンテーションでも、「手島篤司の自己紹介」というページがあるなど、フレンドリーな雰囲気。「Vアプリに参入を意図する事業者が集まるセミナー」という、アットホームな(?)雰囲気にふさわしく、手島氏個人のキャラクターがよく出ていた印象だった。

特に他社キャリアの比較として、Vアプリについて「他社は端末側で、色々とアプリに対する機能の制限(端末機能へのアクセスやネットワークアクセスなどの制限)を設けているようだが、ボーダフォンでは、ネットワーク側で(コンテンツアグリゲータの基準に応じて)臨機応変に行う」と言っていた点が興味深い。確かに、ボーダフォンのやりかたであれば、柔軟なシステム運用が期待できそうだ。(取材・文:三田隆治)

ボーダフォン
Vodafone Developers Support Site

(約200KB)

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